
昼過ぎ、デッキの上にキツネがいた。
突然のことで驚いた。
それも堂々として、くつろいでもいるようでもあり、目が合っても逃げようとしない。
それではと、2階の仕事部屋へカメラを撮りにいき戻ってみるとまだじっとしていた。
暫しモデルになってくれたが、その後、忽然と立ち去ったのだった。
キリリといい顔だった。野生の顔である。

後から思い返すと実に不可思議であった。
このキツネは慣れているわけではない。
時折、キツネは出没するがとても慎重で、ちょっと現れては我々の気配を感じるとすぐに消えてしまう。
しかも、現れるのは夜である。
真っ昼間、こんなに近く、堂々と現れるなんてあり得ないことなのだ。
それに、このキツネ、美しいのである。
彼らにとって雪の積もる冬は餌も乏しく厳しい季節だ。
薄汚く痩せていても不思議ではない。事実、冬に見かけるキツネはそんなものだ。
考えれば考えるほど不可思議な事件のように思われる。
なんだか、このキツネ、堂々と座っている姿は神社のおキツネ様に似ていないか。
ひょっとしたら神様が来たのかもしれない。
我々になにかいいに来たのではないだろうか?
だらだらと放埒な日々の小生に
「しっかりせんかい!ちゃんと仕事をせんかい!!」
なんて叱咤しに来てくれたのかもしれぬ。
などと、想い巡らすのであった。