突然の春のような陽気に誘われて海散歩。
今回初めて能登内浦へ行ってみたのだが、外浦と違ってうららかな春の海だった。
ちらほら釣り師たちもいて、まだ冷たい風の中、楽しそうにイカを釣っていた。ヤリイカだ。
そうか、知らなかった。この時期、ここではヤリイカが釣れるのだ。
私はショアジギング。50グラムのルアーをフルキャストする。
緩やかな追い風に乗って遥か遠くへ飛んでゆくルアー。
ルアーをひたすら遠くへ投げること、私はそれが好きなのだ。
ルアーの着底を待ち、ワンピッチジャークを繰り返す。
海中をルアーが動き泳ぐ様を想像しながら繰り返す。
そのうち、ガツンと何かが食いついた。
引きは案外強く、左右に鋭く走った。
竿先が絞り込まれ、折れ曲がる。
この時期、青物ではないだろうし、何だろう? と思いながらごりごりリールを巻いた。
果たして水面に姿を現したのはサワラだった。
鋭い歯と目がギャングのようでカッコいい。ヒラメも太刀魚もギャング系だが、基本、ギャング系は好きである。
計ってみたら60センチ。このサイズはサワラの若魚サゴシというのかもしれない。
結局、ヒットはこのひとつだけ。でもそれで十分だった。
早春の海を身体一杯楽しんだ。
驚いたのはギャング君の刺身の味である。この顔だからあまり期待していなかったが、それは甘くて美味かった。
漢字で書くと鰆。
まさに春を告げる魚なんである。