早朝の暗いうちから赤助と赤子はせっせと雛に餌を運ぶ。
私が確認できただけでも今日一日、二羽で25回だった。
餌はカエルが一番多い。アオガエルにアカガエル。そしてトカゲ(カナヘビ)にヘビの子供である。
相当大きい獲物もあるが、雛に与えるとすぐに巣から出て来るので、餌を小さく千切ってやっているわけではない。
おそらく雛は丸呑みにしているのであろう。
アカショウビンは普通5個の卵を産むという。
雛が5羽であれば、1日平均、1羽が5回餌を呑み込んでいることになる。
勿論、自然界には平均とか、平等とかいうものはない。
可哀想、という感情もない。
元気なやつが沢山餌を貰い、親もそいつに沢山餌をやる。
元気で強いやつだけが生き延び、弱いやつは死んでゆく。
強いやつの種が残ってゆく。
種を維持することが唯一の価値観なのだ。
だが、私としてはやはり5羽がみんな揃って大きくなってもらいたいと思うのだ。
難しいことだとは思うが。
ともあれ、親たちがいない間も、巣の中からはゴソゴソと雛たちが動く音が聞こえてくる。
生きて育っている空気が伝わってくる。
そして今日初めて、雛たちが鳴く声を聞いた。
親が餌を運んで巣に入った時だ。
耳を澄ませると、確かに聞こえてくる。
ピーピー、ピヨ、ピヨ、と餌をねだる雛特有の鳴き声だが、
驚いたのはその中にキョロロ、キョロ、キョロ、という声もあったこと。
嗚呼!!やはりアカショウビンの子供たちなのだ!
親が帰ってくると、雛たちが大きな口を開けて餌をねだり、カエルやヘビの子を丸呑みにする。
そんな光景がリアルに想像できる。
なんだか、こちらの予想以上に雛たちは大きく成長しているのかもしれない。
ひなの成長は早い。
考えてみれば、この雛たちは夏の終わりまでに立派に育ち、東南アジアに帰るだけの力を持たなければならない。
その間、およそひと月である。
とにかく、みんな揃って大きくなれと願わざるを得ないのである。