早いもので、もうタンポポが種を飛ばす頃になった。
あっという間に春は過ぎて、すでに初夏の空気が漂っている。
見事な綿毛ボールである。
まだ種が熟成していないのだろう、風が吹いても飛んでいく様子はないが、
暫くすれば、種たちは風に引きちぎられるように次々と離れ、綿毛ボールはぶっ壊れるのだ。
何処へ飛んで行くのかは本人も知らない。風任せ。いいね。
『風乗りて たんぽぽのごとき 我もまた』
そして、近くにもうひとつ似たような綿毛ボール。
大きく伸びた茎。その先に沢山の綿毛ボール。その姿はたんぽぽと違って奇怪でさえあった。
こいつは何だろうと数日前から気にはなっていたのだが、近づいて見てみようという気にならなかったのだ。
それが今日、歩きながらボンヤリ見ていて、忽然と閃くように気が付いた。
何を隠そう、こいつはフキノトウなんである。
普通知られているのはフキノトウの雄株だ。
小さい花が沢山詰まってその姿は愛らしい。
しかし、雄株は花粉を飛ばした後は消えてしまい
受粉した雌株だけがグングン伸びて綿毛を付けるのである。
そして、今まさに綿毛の種を飛ばそうとしているのだ。
1メートルくらいの背丈になるやつもいるらしい。
いや我ながら驚いちまった。

(地面から顔を出したばかりのフキノトウ雌株。)
人間の雄どもは威張っているが、
自然界では動物だけでなく植物も雌が主役なんである。
雄の仕事といえば、精子を作るだけであって
それが終われば用はなく、消えてしまう虚しい存在なんである。
しかし、この雄の哀しさと虚しさこそが
芸術を生み出す原動力なのだ!!
と、負け惜しみを言っておく。