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3月10日のことだった。 朝の自由時間、定刻7時半、いつも通りヘーちゃんカンちゃんを外に出してやるが、普通30分も経たないうちに帰って来るのに、その日はなかなか帰って来なかった。 ひょっとしてと思い、お隣さんである寺に電話をしてみると、案の定、寺の犬、ハナは離れていて今から迎えに出るところだという。要するにヘーカンはハナと一緒になって遠出の散歩に出かけたのである。 ハナは通常放し飼いだが、ヘーカンを外に出す時間は繋いでもらうことになっている。ハナとヘーカンが一緒になると遠出の散歩に及ぶ可能性があるからだが、今回、ちょっとした手違いでその時間に繋ぐことができなかったらしい。 ハナは可愛い♀の秋田犬だが、幼い頃から厄介な癖がひとつある。近くの村へ出かけて行って帰って来ないのだ。近くの村の犬好きのじいちゃんばあちゃんのところに行くらしい。 その都度、寺の和尚、和樹さんや嫁さんの啓子さんが出かけて行っては連れ戻すのだが、それが日課のようにもなっていた。近くの村ならまだいいが、時折、20キロ先の町まで出かけたりすることもあった。 そのハナも年齢が10歳を超えると流石に力も衰え、その頻度は少なくなったのだが、ヘーカンという若き♂の登場で彼女は若さを取り戻したように元気になり、元気になったお陰でヘーカンと一緒になるとついつい遠出の散歩に及ぶのである。ヘーカンにしてもハナは老女とはいえ唯一の♀であり、生まれて初めての♀でもあって、それはもう欣喜雀躍しハナについて行ってしまうのである。 3匹が遠出をすると、ハナが自力で帰ってくる可能性は低く、和尚が車で迎えに出ることになるのだが、その折、ヘーカンは和尚の車に乗ろうとしないらしい。仕方なくハナだけ連れて帰ることになるのだが、ハナがいなくなるとヘーカンは自力で帰って来るのである。 そんなことが何度かあった。遠出は輪島方面の与呂見村か、柳田村方面の当目という集落辺りまで、いずれも距離にして5〜6キロくらいか。だいたい決まったコースだった。 ハナと遠出に及んでも、遅くとも3時間もすれば何気ない顔で帰って来ていたし、そのことは信頼していた。今回も心配はしなかった。和尚はいつも通り当目の集落周辺で三匹を見つけ、ハナを車に乗せて帰って来た。その時、ヘーカンは暫く車の後を追って走って来たのでそのまま帰るのだろうと思ったらしく、こちらにその連絡もなかった。和尚もヘーカンが帰って来るのを全く疑わなかったのだ。それほど、それが当然のことだった。 しかし、この日は帰って来なかった。5時間が経過した頃から心配になって来て、連合いと捜しに出かけた。簡単に見つかるだろうと思ったが見つからず、帰って来ているかも知れないと一度帰ってみるが、その期待は見事に外れた。 そのうち雪が降って来た。寒さに慣れたとはいえ基本毛は短く寒さに強い犬種ではない。夕方近く、再度捜しに出かけた。行方不明になった辺りをゆっくり巡っていると、和尚さんたちも心配し、ハナを連れて捜しに来てくれていた。まあ他人事ではなかったのだ。 雪の上の足跡を辿り、考えられる道を捜したが、小生たちも和尚さんたちも見つけることは出来なかった。 夜は雪が降りつづき、帰って来ることを願ったが、とうとう帰って来なかった。 一体、何があったのか? これまでのことを考えてみても帰らないことが想像できなかった。 ともあれ、雪降る夜を何処かで震えながら過ごしているに違いなく、それを思うといても立ってもいられなかった。まんじりともせず一夜が明けたのだった。 翌朝、小生は原稿の締め切りで動けなかったが、連合いが捜しに出てくれた。 昼前、彼女が帰って来たので様子を聞こうと一階に降りてみると、炬燵から何かが勢い良く飛び出した。 なんと!!カンちゃんだった。 雪の一晩をクリアして帰って来て、炬燵に潜り込んでいたのだ。 カンちゃんだけだったが、嬉しくて大騒ぎとなった。相当腹が減っていたのだろう、缶詰をぺろりと平らげた。 あの雪の夜を、と思うが元気だった。ということはへーちゃんも元気に違いないとホッとしたのだった。 正直、ヘーカンの失踪は我々にとって思った以上にショックで、心にぽっかりと穴が開いたようで気も力も抜けて心は重かったのだが、カンちゃんの帰還はそれを完全に払拭できたと言えないまでも、半分以上は希望と気力を取り戻すことが出来たのだった。 午後からカンちゃんも連れての捜索である。これまでは想定内の捜索だったが、想定外の地域も捜索してみた。しかし見つからない。 走り回って捜すのは限界がある。たとえ道で発見できたとしても、それはあくまで偶然であって、その可能性は極めて低い。 地域の人たちや要所に知らせ、何か情報あれば知らせてもらう方が効率的である。 そう思ってカードを作り、行方不明になったところを中心に出会う人々にカードを手渡し、もよりの保健所や警察に失踪を届け出た。 次の日は温かい日となった。 その日も午前中から柳田方面に探索に出かけた。走り回って捜すことはあまり意味がないと分かっていても、これは小生の気分の問題なのだ。なんだかじっとしておれないのだ。 遠くの柳田村まで出かけ、各集落で出会う人たちに事情を話し、何か情報があれば知らせて欲しいとカードを配った。 しかし、この日も見つけることができなかった。 その次の日も午後から探索に出かけた。 しかし、駄目だった。 カードを配った人たちや保健所警察からも情報はなかった。 生きて道を歩いていれば誰かから情報が来る筈である。誰かが保護してくれて警察か、保健所に連れて行ってくれれば連絡が入るだろう。 それが全くないというのはどういうことか? 考えられることは3つである。その1つは山に迷い込んでそのまま凍死してしまったか。 2つ目は鶏を飼っているところではタヌキやイタチ対策に罠を仕掛けるところもあると聞く。その罠に掛かってそのまま死んでしまったか。 3つ目は首輪はしているものの自由に歩いているのを飼育放棄と見なし、飼ってやろうとそのまま車に乗せて持ち帰った人がいる可能性である。 しかし、1つ目と2つ目はあり得ないと思える。ヘーカンは山に入ることも多いが、この辺りの山は決して深くはなく、ヘーカンたちにしてみれば迷い込んで出られないというのは極めて考えにくい。 2つ目はそのことを村の人たちに聞いて見ると、雪の時期は害獣たちは冬眠しているので罠を仕掛けることは極めて少ないという。 一番可能性があるのは3つ目である。小生であっても、飼育放棄されてウロウロと徘徊している犬がいて、その犬に縁を感じればそのまま持ち帰って飼う可能性は否定できない。 村の人たちに失踪の話をすると、その可能性を言う人が多い。 事実、寺のハナも遠出の徘徊の折りに、金沢の人に連れていかれたが、その後、偶然のようにその人と連絡がとれ帰って来たことがあるし、知り合いの愛犬家も過去そのようなことがあったと聞く。 もし、そうであればそれで仕方がない。それも縁である。生きていて可愛がってくれればそれでいいか、とも思えるのである。ともあれ、生きていてくれること、それが第一である。 静岡の木工家、かつみゆきお氏のところへ生後1ヶ月半の子犬をもらいに出向き、我が家に連れ帰ったのは昨年の元旦だった。 以前、飼っていた犬、ソクラテスの流れをくんでヘーゲルと名付けた。 ヘーゲルのヘーちゃんは小さくて、まるでネズミの大きいやつのようだった。 一ヶ月後、かつみ氏から電話があり、ヘーちゃんの兄弟で既に貰い手が決まっていたが、その人が受け取りに来ないのでもう一匹貰ってくれないか、という内容だった。 小さい犬だし、一匹より二匹の方が遊び相手もいてこちらも楽だろうとすぐに引き取りに行った。やはり哲学者の名前でヘーゲルと発音の違いがハッキリしているということでカントと名付けた。カンちゃんである。 その後、兄弟二匹は仲良しでいつも一緒に走り回り、遊び回ってすくすくと成長したのだ。 ヘーちゃん失踪後、一週間が経った。しかし、依然、へーちゃんの消息は分からなかった。 諦めたわけじゃないが、気分は少し落ち着いてきた。どう考えても誰かが連れ去ったとしか思えず、まあそういうことがあっても仕方ないと、全体を受けとめられるようになったのだろう。このあたりで気持ちを切り替える必要があった。そうしないと前に進まないのである。 我々の飼い方が間違っていたのかも知れない。責任は感じている。しかし、だからといってそういったリスクを全く排し、繋ぎっぱなしとか、家から全く出さないとか、完全に我々の管理下に置く飼い方はやはりしたくはない。 ここは山である。思い切り走らせたいと思うし、犬たちが自由に遊べる時間も作ってやりたい。 そして何よりそれができる信頼関係を作ること、その信頼があって成り立つ飼い方。ペットではなく、共に生きる家族として付き合いたいと思う。多少のリスクがあってもである。 以前飼っていたソクラテスは全くの放し飼いだったが、そのやり方に合っていて全く問題はなかった。いつも傍にいて共に生きた家族であり、相棒だった。 しかし、ヘーカンの犬種はイタリアン、グレイハウンドである。ゴールデンリトリバーのソクラテスとは性格が少し違い、ハナとの遠出や我が与呂見の住人との相性関係もあって、全くの放し飼いは今のところ出来なかった。 それでいろいろ試行錯誤の結果、朝と昼と夜の日に三度の一時間程度の自由時間、そして冬以外は連合いが早朝の散歩、小生が午後の散歩というのが日課になっていた。 日に三度の自由時間はハナと一緒にならない限り30分程度で帰って来るのが普通だった。 全くそれで問題はなかったのだが、突然、今回の失踪である。ハナと別れた後、二匹に何らかの事件があったに違いない。何があったのか、分からないが、ともあれそれをクリアしてカンちゃんは帰って来たし、へーちゃんは帰って来なかった。そして、この先、自力で帰って来ることはもはや期待できないほどの時間が経ってしまった。 誰が悪いわけじゃない。言えることはいろんな偶然が重なった結果だということだ。 ヘーカンコンビと一年三ヶ月の付き合いだった。 お陰で昨年は家にいる限り毎日散歩に出かけ、身体も調子よく、道端の沢山の野花にも出遇うことができた。 昨年の新作版画、野花シリーズは彼らのお陰で出来たのだ。 その他、いろんなものを沢山貰ったような気がする。へーちゃんカンちゃんにありがとうである。 そして、改めて、カンちゃんヨロシクと思うのである。 へーちゃんのことは諦めたわけじゃない。 生きていてくれよと祈っているし、 いつだって玄関の戸は開けておく。
by gorosuke85
| 2014-03-19 18:27
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Comments(11)
江崎さん、へーちゃんまだ帰って来ませんか?
心配です。もう10日も経過ですか、誰かに保護されているといいですね。 はやく見つかることを祈っています。
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涙が出てきました。ペットではなく家族、相棒であると言う言葉は本当によく解ります。その相棒が自由に駆ける姿は心打たれます。
犬がもっとも犬としている瞬間だと思います。 我が家のクソ獏もたまに脱走しますが、その時は本当に嬉しそうに走って行きます。まさに欣喜雀躍です。こっちは大変なんですけど。 こんな形でへーちゃんと別れるのはとても辛いことだと思います。今はただ無事を祈るばかりです。
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なおこ
at 2014-03-20 09:18
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ショックですね。
私も、小学校の時に5年間飼っていたコリーがいなくなったのを思い出しました。 へーちゃん、何かの理由で帰ってこられなくなったのでしょうけど、無事でいることを信じてます。 江崎さんも、元気出してね。
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gorosuke85 at 2014-03-21 09:33
獏オカンさん、ザブンさん、御心配ありがとうです。保護されたのだとしたら連絡が入ると思います。そうではなく連れ去られた可能性が大きいと考えます。それも遠くからの観光客だったとしたら、もう帰って来る可能性はないですね。交通事故で死んだとしても保健所に連絡が入るそうです。いろいろ考えられますが、ともあれ生きていてくれればいいかと、それだけを願っています。本文にも書きましたが、我々の飼い方は町で飼うよりリスクの大きい飼い方です。でも犬に関しては失踪なんてことはなかったので、意外とショックは大きく、我ながらそのことに驚いています。まだ諦めてはいませんが、今となっては待つしかなく、カンちゃんの帰還もヘーちゃんの失踪も縁だと思うしかないですね。そのうちひょっこりいつもの顔で帰って来るイメージが浮かんできます。
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gorosuke85 at 2014-03-21 09:45
なおこさん、いや思ったよりショックでしたね。これまで猫は時々あったけど、犬に関しては失踪なんてあり得なかったですからね。町と違ってリスクの大きい飼い方だとは承知していましたが、まさかね、全くの想定外だった。
本文にも書いたけど、誰かに連れ去られたのだと思っています。それしか考えようがない。車に轢かれたのなら情報が入る筈だしね。そんな場合は保健所に届けられるらしい。 ともあれ、生きて元気でいてくれればいいなあと願っています。 そうそう、このところフクシマのことや、現政権の戦争への方向、それを支える多くの国民、などなど気分は重く、さらに今回の失踪事件、なんか沈鬱な感じで仕事する気にもなれなかったんだけど、そろそろ気持ちを切り替えて、前に進まないとね。そう考えると、やるべき仕事は一杯あって、春の蠢きに乗っかって、よーし、やっかー!!というところです。ここから新たな小生をはじめます。 犬のこと、そして小生のこと御心配ありがとう!!
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通りすがり
at 2014-03-21 13:55
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どんな田舎であろうとも、ノーリードは禁止です。
飼い主のモラルの問題です。 犬が嫌いな人だっています。 自分の敷地内に勝手に入ってきたと言って怒ってどこかに遠くに捨てる輩だっています。 山で獣の罠にかかったり、傷つけられて動けなくなった犬を何匹も見てきました。 本当に大切に思うのならノーリードはやめて下さい。 犬が可愛そうです。
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gorosuke85 at 2014-03-22 09:34
通りすがりさん、ご意見ありがとうございます。貴方の言われていることが世間的一般常識だと言うこと、承知しております。心します。
犬の飼い方はモラルの問題というより、飼い主の生き方の問題だと思っています。犬にとってどんな状態が幸せなのか?ということは私にとってどんな生き方が幸せなのか?という問題に重なります。これからも犬と一緒に暮らしながら、考えていこうと思います。
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おのさん
at 2014-03-22 13:06
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子どもの頃、飼っていた柴犬が4日ほど脱走しました。少し離れた駅前で友人が見つけてくれて、駆けつけたとき、ガリガリになりながらも私の顔をみて飛びついてくれたときのコトを思い出しました。
へーちゃん、願わくばもう一度カンちゃん江崎さんの元へ帰ってきてくれますように。
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mory_and_meg at 2014-03-23 18:40
へーちゃんが無事にみっくん宅に戻ること、こちらからもお祈りしています。
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gorosuke85 at 2014-03-26 15:59
おのさん、そうか、犬を飼っていると失踪事件はあるんだよな。ほんと戻って来てほしいけど、2週間も経ったし、やはり誰かが連れて行ったのだと思われる。諦めたわけじゃないけど、とにかく無事に生きていてくれたらなあと願っているよ。つくしでかくなったろうなあ。
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gorosuke85 at 2014-03-26 16:04
めぐちゃん、ありがとう。まだ戻って来ないし、連絡もないんだ。近隣の村に行って害獣の罠が仕掛けてあるかどうか聞いて廻ったけど、この辺でそんな罠を仕掛けている人はいないようだし、やはり育児放棄と勘違いされて遠くの人に連れ去られた可能性が大きい。ともあれ、元気でいてくれたらなあと願っているよ。
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