山全体はまだ紅葉にはほど遠いが、
あちらこちら
その気配が顔を覗かせている。
深き秋の色である。
秋も深くなるとお日さんの力が弱まって
光合成もままならず
省エネのために葉っぱを落とすが
その前に葉っぱの養分を回収する。
そうして赤くなる。
葉っぱを落とし赤くなって身を守る。
秋は一見寂しいが、
実は葉の養分を回収していっぱい溜め込んでいる
いわば忙しい繁盛期なのかもしれない。
またやってくる春に
新しい葉っぱを出すために。
作詞家サトウハチローは東京の自宅の庭にハゼの木を植え
真っ赤になったハゼの木を眺めながら作った唄がある。
誰かさんが 誰かさんが
誰かさんが みつけた
小さい秋 小さい秋
小さい秋 みつけた
むかし むかし 風見(かざみ)の鳥の
ぼやけた とさかに はぜの葉一つ
はぜの葉 赤くて 入日(いりひ)色
小さい秋 小さい秋
小さい秋 見つけた
確かに、この葉っぱ
日本海に落ちる夕日の色だし
小さい秋なんである。