日本全国山といわず町といわず、どこにでも生えているイネ科の草である。
正式にはエノコログサという。花穂が子犬の尻尾に似ているところから犬ころ草といわれ、それがなまってエノコログサになったらしい。漢字はそのまま「狗(犬)尾草」と書く。
風にそよそよと揺れている姿は誰しもの懐かしい思い出の隅っこにあって、すぐでも鮮明に思い浮かべることができるだろう。
しかし、誰でも知っているわりには正式な名前は意外と知られていない。
「ねこじゃらし」という俗名がすでに誰も文句の付けようのないほどの説得力でまかり通っているからだろう。
誰に教えてもらわなくても子猫を飼っている人ならこの草を見て千切り持ち帰らない人はいないだろう。そうしていつしか自然発生的にこの名前が定着したに違いない。
確かに、この形、この動きは子猫の本能を凄まじく刺激するんである。
猫族の狩りの本能である。

飼い猫とはいえ、狩りの本能は十分発揮させてやらねばならぬ。
子猫のときは遊びの中で狩りを習得するのであって、
飼い主はせいだって猫じゃらしで遊んでやり訓練してやる義務がある。
そうしてこそはじめて立派な猫となるのだ。
このあたりは人間も同じだな。
子供の時、精一杯子供をやらないとちゃんとした大人になれない。
人間の子供は遊びの中で考える訓練をする。
お勉強ばかりではアホになっちまう。
先日、友人がオレコのお土産に猫じゃらしを買って来てくれた。
ぴよよ〜ん、と伸びる紐、大きい玉、玉に付いた羽根、
いろいろと考えられた新型の猫じゃらしだ。

どう考えても新型の動きは多様そうだし、面白そうだ。
オレコの反応はさぞやいいだろうと思いきや、
やってみると従来のねこじゃらし型のほうが食いつきがいいし飽きないのだ。
エノコログサのあの形。
細い柄に適当な軽さと大きさの花穂。
極めてシンプルなんだが、この形が生み出す絶妙なバランスと動きこそが猫の生理的五感にぴったりと合って、狩猟本能を誘うのだ。

ふむ、恐るべし!ねこじゃらし。
やはりこれが、本家、ねこじゃらしなんである。
ところでオレコの成長を温かく見守ってくれている皆さんにその後の報告。
アーサーとの猫関係はさらにうまくいっているようです。