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深夜、普段テレビドラマを見ない私がWOWOでやっていたドラマを観ていた。
「荒地の恋」である。 これは詩人ねじめ正一が故荒地派詩人北村太郎をモデルに書いた小説をドラマ化したものだった。 北村太郎は戦後詩のグループ「荒地」の一人で、横浜で暮し、横浜と猫をこよなく愛した詩人だが、私たち家族が奥能登移住の前、横浜で暮らしていた頃、知己を得て親しくさせてもらい、また大変お世話になった人でもある。 この正月、北村氏と共通の知り合いである古い友人がやってきて、その彼からこのドラマ放映のことを聞いていたのだが、ふとそれを思い出し番組を捜すと既に前半の3話は終わっていて後半の2話が間に合った。 ハードディスクに録画しておいて観た訳だが、最終話に入ったのは12時前だった。 暫く観ているうちに、ばあさんの部屋の方がやけに騒がしいことに気がついた。 ガタガタ、ガッチャンガッチャンと音がする。いつものように箪笥の引き出しを引っぱり出し動かしているのだろうと思ったが、それにしても激しい音だった。 このところ、夜に窓を開けて閉め忘れることが度々あったので、また窓を開けたり閉めたりしているのかもしれないと思い、居間の窓からばあさんの部屋の窓を覗き見ると、案の定、窓は開いていて、なにやらばあさんの声がする。 普通の声ではなかった。何を言っているのか分からないが、悲痛な声とも言える切迫感があった。 ばあさんの部屋に入ってみるとばあさんの姿がなかった。窓は開いたまま。 それで窓の外に落ちたことが判った。 窓から下を見るとばあさんが雪に埋もれるようにそこにいて手をバタバタと動かしていた。 屋根から落ちて溜まった雪と床下の隙間に挟まって身動き出来ず、床下に置いてあった薪ストーブの煙突や木材などを掴んでなんとか起き上がろうともがいていたらしい。 音はストーブの煙突や木材が当たったり擦れたりする音だった。 転落した窓は縁側のガラス戸のような床からの窓なので落ちやすい。 一昨年の秋にも一度落ちたことがある。便所に行こうとして部屋の出入り口の戸と間違えたのだ。どうやら今回も間違えたらしい。 ヘッドライトを付けて玄関から現場に行こうとするが、なんせ屋根からの溜まり雪が行く手を阻んだ。 歩こうにも腰まではまり込む。これではばあさんを背負って玄関に戻ることは難しい。落ちた窓から引っ張り上げるしかない。しかし、床が高いので1人では無理だ。 風邪気味で早々寝床についていた連れ合いを叩き起こし、現場に近い縁側から外に出た。 ばあさんを雪から引っぱり出し、上から連れ合いに手を引っぱってもらい、下から下半身を抱きかかえ差し上げるようにしてなんとか彼女を部屋に戻した。 驚いたのは雪の中にどのくらいいたのか分からないが、おしめが外れそうになった下半身の半分は丸裸の状態だったにもかかわらず、顔色はピンク色で弱った感じがまるでないことだった。 その後、連れ合いが全とっかえの着替えをやってくれ、部屋を暖めてくれたのだが、ばあさんの様子はいつも通りで、一昨年の落下の時のような腰痛や打撲で動けない状態にはならず、落下による怪我はないようだった。 おそらく雪が落下のショックを和らげてくれたのだろう。 落ち着いた後、ドラマを見直した。 北村太郎本人のキャラクターは演じた役者の雰囲気とは随分と違っていて可笑しかったが、今はなき山手の米軍グランドスタンドなど、あの頃の横浜らしい風景は再現されていて、生前の北村太郎の屈託のない飄々とした笑顔が思い出され懐かしく思ったのだった。 北村太郎の思い出は私の宝であり、実は彼が私の人生見本なのである。 それにしても、である。 このところ夜更かしはしなかったが、この夜はたまたま北村太郎のドラマを見たお陰でこの時間起きていた。 もし、見ずして屋根裏の寝床で寝入っていたら、朝になって雪の中で冷たくなったばあさんを発見したに違いない。 このことは単なる偶然とは思えない。北村太郎は逝って既に20年は経つが、今も私の周辺に生き続けている。 不思議な縁である。 (落下した現場。今朝の様子) 今朝のばあさん。 「ゆんべは死ぬかと思うたよ。ほんで、助けてー!!と何回も叫んで足をバタバタさせとったんよのー」 と活き活きと喋るのである。 96歳になり惚けも進んで来た。いつ迎えが来てもと、とっくに覚悟は出来ているのだが、まだまだ先のようである。
by gorosuke85
| 2016-02-07 15:31
| 家族
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